イエス・キリストの母マリアについて、あなたはどんなイメージを持ってきたでしょうか?西洋美術の世界では、「聖母マリア」として、とても有名な主題とされてマリアは描かれてきました。

聖書の中の福音書と呼ばれる書物の中には、イエスの人生についての記録が残っています。マリアが主人公とも言える、イエスの誕生にまつわる話は、いわゆるクリスマスストーリーなので、あなたも聞いたことがあるかもしれませんね。

ある時、処女であったマリアの前に天使が現れて、「聖霊の力(神の力)がマリアに注がれてその胎に男の子が宿る」と告げられ、そしてその言葉通りにマリアはイエスをみごもって生みました。そしてマリアは、イエスが「聖なる者、神の子と呼ばれる」とも、天使から告げられました。

(イエスの誕生にまつわるマリアの不思議な体験については、クリスマスに関する漫画の中でより詳しく描かれているので、クリスマスシーズンも間近のこの季節、その漫画『羊飼いへの招待』も是非、読んでみてください!) 

誕生ストーリー以外で、福音書にあるイエスの記録のほとんどは、イエスが大人になってからの内容ですが、少ない記述からも、イエスが普通の人間の赤ん坊と同じように生まれて成長したことが分かっています。普通の子供と同じように、抱いてあやされ、乳や食事を食べさせてもらい、オムツを変えてもらい、服を着せてもらい、と世話をされて成長したのです。では、母マリアは、一体イエスをどんな風に育てたのでしょうか?後世に「聖母マリア」と称されるに相応しく、赤ん坊のイエスが夜泣きをしても、いつも穏やかに聖画にあるような微笑みをたたえながらお世話をしていたのでしょうか?きっとそんなことはなく、普通の母親と同じように、時には疲れはててイライラしながら、悩みながら、子育てに追われる日々を過ごしていたことでしょう。確かに、誕生の経緯は常識では考えられないようなものでしたが、子育てに追われていく中で、天使がマリアに告げた「イエスとは誰なのか」に関する言葉は、記憶の中から薄れてしまっていたのではないでしょうか。

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小さな子供だけではなく、10代の子供を持つ親にとっての子育てにも多くのチャレンジがありますね。聖書の中での記述が少ないため、マリアとイエスが母と息子として実際にどのような関わり方をしてきたのかは、詳しくは知られていません。ですが、ごく短く「少年イエスの失踪事件」とも言える話(ルカ2章2:41-52節)が記録されていてます。この話の中にあるマリアの発言から、マリアはごく普通の10代の子供の母親として、息子の成長を喜び、また行方不明になった時には、心から心配したことが伺えます。そして、神殿のことをイエスが「父の家」と呼んだことへのマリアの反応から、「イエスとは誰なのか」というテーマが、彼女の中で思い出されたのではないか、と想像することができます。

漫画『父の家』は、そんな「少年イエスの失踪事件」を母マリアの視点から描いていますが、ストーリーの語り手は、年老いてイエスが近くにいなくなった後の年老いたマリア自身です。

イエスは30歳になってから、救い主キリストとしての歩みを始め、多くの弟子が従うようになりました。そして、約3年後に、イエスの存在を恐れるユダヤ人指導者たちの企みによって十字架刑に処されました。イエスはユダヤ人でしたが、ユダヤ人にとって十字架刑は、神に呪われたものとして処刑されることを意味します。イエスをみごもる前に、マリアは、イエスが「聖なる者、神の子と呼ばれる」と天使に告げられていたのでしたよね。聖なるものとは、神のために取り分けられた者と言い換えることができます。神のために取り分けられた、祝福された、神の子であるイエスは、神に呪われた者であるかのように死んだのです。十字架にかけられたイエスを、母マリアは弟子たちと共に見つめていたことが記録されています。イエスを救い主だと信じていた多くの弟子にとって絶望的な出来事でしたが、母マリアにとっては、比べようのないどれほどの苦しみだったことでしょうか。

しかし、それで終わりではありませんでした。イエスの十字架の死は、人々を救うための神の偉大な計画を成し遂げるためでした。イエスは死に打ち勝って、肉体を持って蘇り、そして天に昇り、本当の「父の家」である天で今も生きておられる、救い主なる神です。神に不可能はないので、マリアは処女としてイエスをみごもりました。神に不可能はないので、死に打ち勝って蘇ったイエスと母マリアとは再会することができました。常識では理解できないことばかりをマリアは体験しました。イエスの母マリアは「イエスとは誰なのか」というテーマを、誰よりも身近に体験した証人です。

あなたのこれまでの人生の中で、常識では理解できないことを、経験したことがあるかもしれません。

あなたは今、自分の力ではどうしようもない、苦悩と戦っているかもしれません。

神にとって不可能なことは一つもありません。

イエス・キリストについて、もっと知りたい方は、是非、聖書を読んでみてください。聖書が欲しい方はお知らせください

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